自転車先進国オランダに学ぶ「スマートモバイルシティ」の街づくり

私たちは自転車に乗っているので、交通ルールや道路状況などの話題には興味が大きいはず。

しかし、車に乗っている人、バイクに乗っている人、歩行者の方でも、モビリティ(移動手段)業界の話題に対する興味は大きいです。

その話題の最近の注目株が、シェアモビリティ業界。

配車サービスの先駆けであるUberが世界中の市場をかっさらっていくと予想していましたが、中国や東南アジアでは現地企業の返り討ちに。

ロシアでも競合企業「Yandex]と合弁企業を設立することになりました。

このようにカーシェアリングなどの話題はいつでも世間を騒がせていますが、次世代の交通手段として注目を浴びているのは、これらのモビリティではありません。

次世代の交通手段の本命は自転車!

このように未来の交通手段に関し、様々なアイディアや事業が生まれていますが、直近で私たちの生活に最も大きな影響を与えていそうなサービスが「シェア自転車」。

最近では中国のシェア自転車の企業である「Mobike」が日本進出を決めています。

それに対抗するかのように、数か月後にはライバルになりうるofoもソフトバンクC&Sと共同で、特別な駐輪場がいらないドックレスシェア自転車事業を日本でスタートさせると発表しました。

このように様々な国や地域、世界中でシェア自転車サービスが誕生しています。

シェア自転車のメリットは?

シェア自転車の利点としては、誰かが運転手を務める必要が無いため、24時間365日いつでも利用できます。

さらに、込み合った都市部など電車やバスのような公共交通機関や自家用車では行くことのできないような場所でも自転車なら問題なくアクセスすることが出来ます。

これに加えて、燃料が不要なため環境にも優しく、運動不足をの解消にも繋がるでしょう。

以上のようなメリットがあるものの、GPS通信機能を悪用したプライバシー侵害の恐れや、サービスの欠点など問題点が話題になっています。

しかし、今後各地でサービスが普及していくうちに法整備やシェア自転車業界側の自主規制により不安は軽減され、上記のメリットを生かしたサービスが展開されていくでしょう。

これからの課題は新たしい街づくりにある

これまでお話したように、これからの交通手段としてシェア自転車の利用が増え、ルールが整備されたとしても、それに対応した街づくりや市民の意識改革なしでは全体として充分にこのサービスのメリットを完全に活用できないでしょう。

例えば、駐輪エリアのスペースが限られていると「乗り捨て」ができるというシェア自転車のメリットそのものが死んでしまいます。

自転車に安心して乗れるように自転車道が整備されていなければ利用者数は増えません。

さらには、本来車やバイクに比べて場安全なはずの自転車も、利用者が交通ルールを守らなければ新たなリスクを生み出すだけになってしまうでしょう。

これを考慮すると、ルールの整備やサービスの復旧と共に、受け入れ側となる各自治体ではシェア自転車を有効活用できるような街づくりについて考えていく必要があります。

そうすれば、そこに住む市民の方も新しい環境に沿ったマナーを身に着けていかなければならないと気づいていくはず。

つまりシェア自転車という共有資産を有効活用しつつ、目的に応じた最適な交通手段を安全に利用できるような環境。

スマートさとモビリティを兼ね備えた「スマートモバイルシティ」の構築こそが、今後の街づくりの大きな課題の1つになるのではないかと考えます。

自転車天国アムステルダムではどのような対策をしたのか

以前ご紹介した通り、自転車天国のオランダ・アムステルダムではシェアサービスの急激な拡散を受け、シェアサイクルの撤去という強硬策を施行しました。

しかし、現地の声に声を傾けてみるとシェアサイクルに対してポジティブな印象を持っている人も少なくないため、批判の声は少なからずあるようです。

やはり、このような強硬策には犠牲を伴うということですね…。

さらにシェアサイクル撤去に関する発表からしばらくたち、撤去の期限が迫っていても街中ではシェアサイクルをよく見かけました。

また、国土が大きくないオランダだからこそ、シェアサイクルを普及させることで土地を有効活用できるのではないかとも思える。

アムステルダムはシェアサイクルと相性がいいはず…

そもそも自転車に乗る習慣が根付いているオランダとシェア自転車サービスの相性はかなり良いように思えます。

街中に自転車道路が広がり、もちろん電車への持ち込みもOK。

街を歩けば車が自転車の通行を優先している様子をよく見かけます。

さらにオランダ北部フローニンゲンの一部では信号機にセンサーが取り付けられ、雨が降テイルときは自転車道の信号が優先的に青に変わるようになっている他、路面凍結による転倒を防ぐために自転車道にヒーターを埋め込むというプロジェクトも実施されているほど。

これまでにシェアサイクルの普及において最高の環境はないのではないでしょうか?

これを見るとすごくもったいないような気もしますが、以前の記事をご覧いただけば撤去に至った理由が分かるはずです。

アムステルダムでシェアサイクルが撤去された理由がこちら。

オランダが自転車王国になるまで

今では自転車王国と呼ばれるほどになったオランダも、第二次世界大勢い後は車中心の街づくりが行われ、自転車道があるのは一部の地域のみでした。

しかし、車が普及するにつれて歩行者や自転車乗りの方との接触事故が急増していき、市民の不満は高まっていきました。

そんな中1973年の第一次オイルショックをきっかけに、市民と政府が一緒になって都市計画の方向性を、

「車社会」から「自転車社会」へと変えていったんです。

つまり、オランダもすでに車中心の都市を自転車中心のスマートモバイルシティへと作り変えていきました。

都市計画を作り変えるといっても、自転車には専用線路などは必要ありません。

そのため元々は片道一車線だった道路の中心線を取り除き、車の通れるスペースを狭めて自転車道を確保したりして対応しました。

オランダには交通ルールをきちんと守れる仕組みがある

日本でも問題になっているように、自転車の利用者が増えてくるとその方々の交通マナーが浮き彫りになり、危険が多くなっていきます。

その対策としてオランダでは、小学校の最終年度に自転車のテストを受けることになっているんです。

中等教育以降は、自転車通学の子供の割合を増やすために、筆記試験と実技試験を行うテストを通じて、自転車のマナーを向上しようという仕組みを整えています。

以上のように、子供のころからの教育の甲斐あってか、街中では逆走をする人はほとんどいないですし、特に込み合った場所では自転車乗りが道を曲がるときに手信号を出している様子を頻繁に見かけました。

このように非常に大きな成果が出る理由は、行政からのトップダウンの施策だけではなく、車中心の都市計画によって被害を受けた市民も積極的に街づくりに参加したことでしょう。

行政と市民が同じ方向を向き、自転車中心の都市が作られて言った事でアムステルダムのような社会が作られたのかもしれませんね。

日本の状況は?

日本とオランダ、地形の違いが多すぎるため同じ土俵で比べるのは少し違うかもしれませんが、日本の状況を見てみると、数年前に国土交通省が自転車利用環境創出ガイドラインを発表し、自治体ごとの取り組みもありますし、ある程度の成果を上げている印象を持ちます。

しかし、根本的に見てみると、その道のりはまだまだ長そうだと思いました。

その原因に関しては諸説ありますが、2020年の東京オリンピック開催に伴い、自転車道路の整備を発表しているので、今後どうなっていくかを楽しみにしましょう。

日本の自転車利用者はどう?

続いて、利用者となる市民について見ていきましょう。

まず、国土交通省の調査によれば、歩行者の6~7割の方が、歩道を通行する自転車に対して危険・迷惑と感じ、5割が自転車利用ルールを破っていることに対し、迷惑や危険を感じているそうです。

私個人的にも、商店街や人が行き交う歩道を自転車で通行し、歩行者が迷惑そうな顔をしている場面をよく見かけます。

皆さんもそういった場面を見たことがあるでしょうし、迷惑を感じた当事者になったことがあるのではないでしょうか?

このような自転車乗りの行動を改め、状況を変えなければせっかくのシェアサイクルも邪魔者扱いされてしまうこともあるでしょう。

自転車道路の整備に関して

日本における自転車道路の整備についてのお話。

私のローディーとしての願望を言うと、日本のどこでも自転車道があることが望ましいですが、実際には困難な話であることは承知しています。

現実な話を言うと、日本中の至る所に自転車専用道路を整備するのではなく、一般的な自転車の行動範囲である10㎞以内だということや安全の観点から見て、まずは各県の都市部での自転車道の整備を整えるのが妥当な判断でしょう。

市民の意識については、2015年の道路交通法改正以降は、車の免許の更新講習でも車両としての自転車の扱いの説明もあったり、メディアでのながら運転の危険性を取り上げていたり。

さらには警察や裁判でも自転車の危険性など妥当な判断をされるようになってきています。

このようなことが少しずつでも効果を表し、市民の意識に変化を及ぼしていくことでしょう。

私個人的には、もっと強硬的な処置をしないと東京オリンピックに間に合うとは思えませんが…。

なんにせよ、街での自転車利用が増え、さらに市民の意識が変わっていくことを願うばかりです。

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